「うちの子、もう成犬だけど、他の人やわんちゃんが苦手で…」「もっと色々な場所に一緒にお出かけしたいけど、怖がってしまって中々いけない…」
今回は、愛犬との生活で、子犬の頃の「社会化期」が重要とは聞くけれど、「もう過ぎちゃったし、うちの子には無理かな…」と諦めかけている飼い主さんに向けて成犬の社会化について紹介します。
諦めるのはまだ早いかもしれません。
確かに、子犬の頃のようにすぐにはできないでしょう。もしかしたら、できないままかもしれません。ですが、成犬になってからでも、しっかりとしたアプローチで根気強く向き合えば、愛犬の社会性を育て、お悩みを解決できる可能性が十分にあると思います。
今回ご紹介するのは、社会期を過ぎてしまった成犬のために、今からでもできる社会化のアプローチ方法を、わかりやすく紹介できればと思います。

そもそも「社会化期」とは
犬の「社会化期」とは、一般的に生後3週齢頃から12〜16週齢頃までの時期を指します。この時期の子犬は好奇心が旺盛で、新しいものや環境、他の犬や人に対しても、何に対しても興味が湧き、順応しやすく、さまざまな経験を通して社会のルールを学んでいきます。
この大切な時期に適切な経験が不足してしまうと、
- 他の人や犬に対して過度に吠えたり、怖がったりする。
- 新しい場所で落ちかないやトイレをしない。
- 聞いたことのない物音に極端に怯える。
- お散歩中に排水溝を怖がったり、他の犬とすれ違うだけでパニックになる。
といった行動が見られやすくなることがあります。
幼少期の社会化期について触れた記事もありますので興味がある方は読んで頂ければと思います。
成犬からでもできる社会化アプローチ
成犬の社会化は、子犬の社会化とは少しアプローチが異なりますが、焦らず、愛犬のペースに合わせて進めていくことが何よりも大切です。
ここでは具体的なステップをご紹介します。
ステップ1 まずは「お家」を最高の安心できる場所にしよう!
何よりもまず、愛犬が心からリラックスできる安全な場所を確保してあげましょう。
- クレートやベッドを快適な空間に
愛犬専用の落ち着ける寝床を用意し、そこでゆっくり休めるようにしましょう。無理強いはせず、おやつを使ったりして、自分から入るように促すのがポイントです。 - 無理強いは絶対NG!
嫌がっているのに無理やり慣れさせようとするのは逆効果になってしまうかもしれません。愛犬が「ここは安全だ」と感じられることが、新しいことに挑戦する土台になります。
ステップ2 「楽しい!」「嬉しい!」をたくさん経験させよう!
社会化の基本は、「少し怖いかも…」と感じるものに対して、「なんだか楽しいぞ!」「良い事があるぞ!」とポジティブなイメージを持ってもらう事です。
- おやつと褒め言葉を上手に使おう!
少しでも落ち着いていられたり、ほんの少しでも興味を示したりしたら、大好きなおやつをあげて、たくさん褒めてあげましょう。この時「えらいね!」「良い子だね!」と少し声のトーンをあげて、飼い主さんに「褒めてもらえている」と愛犬にもわかるようにしてあげましょう。そうしたら、愛犬の自信にもつながるはずです。
ステップ3 焦らず、少しずつ、ゆっくりと慣れていこう!
焦りは禁物です。小さなステップをクリアしていくイメージで進めましょう。ここでは3つの具体的なアプローチ方法をご紹介します。

人見知りさんへのおすすめアプローチ方法
- 最初は、家族以外の人、知人や友達に協力してもらい、遠くですれ違う事から始めましょう。もし落ち着いていられたらすかさず褒めておやつをあげましょう。
- 慣れてきたら、少しずつ距離を縮めてみます。相手の方には、急に近づいたり、大きな声を出したりせず、優しく接してもうようにお願いしましょう。
- おやつをその方から優しく手渡してもらうのも効果的です。ただし愛犬が怖がっている場合は無理強いしないでください。
他のワンちゃんが苦手な子へのおすすめアプローチ方法
- まずは、他のワンちゃんが遠くに見えるだけで十分です。愛犬が興奮したり怖がったりしない距離を保ちましょう。
- 落ち着いていられるようになったら、少しずつ距離を縮めてみます。この時、相手のワンちゃんも落ち着いている事がとても重要です。
- リードは必ずつけた状態で、まずはすれ違う練習から。お互い問題なさそうであれば、短い時間だけ同じ空間で過ごす練習をしてみましょう。
- 可能であれば、ドッグトレーナさんなどのに相談して、相性の良い、落ち着いたワンちゃんと会わせる機会を作ってもらうのも良い方法です。
このアプローチ方法は犬を飼っている知り合い等が必要になるので、もしいつもの散歩コースやご近所に犬を飼っている方などがいらっしゃるのであれば思い切って声をかけて、相談してみるのも良いですね!
もしくは4、でも触れたように、セミナーや犬のイベント等に参加して、専門家相談したり、その会場で協力してくれる方が見つかるかもしれません。
いろんな物音にドキドキしちゃう子へのおすすめのアプローチ方法
- 掃除機、インターホン、車の音など、日常にあふれる様々な音に慣らしていくことも大切です。
- もし苦手な音があるようなら最初は、小さな音や遠くの音から聴かせ、同時におやつをあげたり、優しく声をかけたりして、「その音が聞こえたら良いことがあった」などポジティブな印象付けをしましょう。
- 傘、帽子、ベビーカー、自転車など、見慣れない物に対しても同様に、まずは遠くから見せて、少しずつ慣らしていきます。物が動かない状態から始め、ゆっくり動かして見るなど、ステップを踏んでいきましょう。

ステップ4 社会化を進める上でとても大切な心構え
社会化トレーニングは、必ず飼い主さんが状況をコントロールできる環境で行いましょう。例えば、いきなりノーリードのワンちゃんがたくさんいるドッグランに連れて行くのは、恐怖体験を植え付けてしまう可能性があり、非常に危険です。愛犬がパニックを起こし、他の犬を傷つけてしまうかもしれません。ですので、まずは落ち着いた環境でリードをつけたまま行うようにしましょう。
心構え
困った時は、一人で悩まずプロに相談しよう!
「どうしてもうまくいかない…」「うちの子の行動、これって普通なの?」もし、ご自身だけでは解決が難しいと感じたり、愛犬の行動に不安を感じたりしたら、遠慮なくプロの力を借りましょう。
- ドッグトレーナや犬の行動療法士
愛犬の性格や状況に合わせた具体的なトレーニングプランを提供し、実践的なサポートをしてくれます。 - 獣医師
問題行動の背景に何か病気が隠れていないか、専門的な観点から診断し、行動修正のアドバイスや治療を行ってくれます。

まとめ
ここまでお付き合いくださりありがとうございます。
成犬の社会化は時間がかかります。「他の子はできるのに何で…」と他の犬と比べ、できない事に悩むのではなく、できなかった事ができるようになる過程を時間をかけてゆっくりと大いに楽しむ事が大切ではないでしょうか。
それに全部できるようになる必要はありません。飼い主さんが飼っている環境の中で愛犬が安心して暮らせる最低限でいいのです。
この記事を読んで愛犬の社会化に役立てば幸いです。
コメント